セキスペとは?おすすめの勉強方法
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の試験概要とおすすめの独学勉強方法についてわかりやすく丁寧に解説します。
私自身、独学で2回目のセキスペで合格しました。自身の合格体験記と不合格体験記を踏まえながら、独学でセキスペを受験予定の方に参考となる対策方法をまとめます。
セキスペ直前対策・総仕上げ!
直近5年以内で情報処理安全確保支援士(セキスペ)の午後過去問でよく問われている頻出内容をジャンルごとにコンパクトにまとめたコースです!直前対策、復習、総仕上げにおすすめです!
セキスペ午後の解説動画!
私自身のセキスペ過去問解説の動画コースです。令和5年春と秋の過去問を解説しています。
おかげさまで星4.6(星5が最高)の最高評価をいただけております!!
難易度ランキング
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の難易度ランキングを別記事でまとめているのでぜひ参考にしてください。
情報処理安全確保支援士とは
情報処理安全確保支援士とは、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が春・秋の年2回実施する国家試験であり、唯一の国家資格です。セキスペではサイバーセキュリティリスクを分析・評価し、組織の事業、サービス及び情報システムの安全を確保するセキュリティエンジニア向けの試験です。
情報処理安全確保支援士試験に合格し、登録手続きを行うことで国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となれます。登録は任意であり、試験合格後にいつでも登録手続きを行えば情報処理安全確保支援士の資格を得ることができます。ただ3年間で15万程度の維持費がネックで登録を行わないのが一般的です。
セキスペの正式名称は「情報処理安全確保支援士」です。英語名は「Registered Information Security Specialist Examination」で、略称としてセキスペやSCと略されることも多いです。
情報処理技術者試験の高度試験(レベル4)の中ではとっつきやすく最も簡単といわれる試験なので、応用情報に合格した後に挑戦するのがおすすめです。
試験概要まとめ
情報処理安全確保支援士の試験概要をまとめます。各リンクをクリックすると説明箇所に移動できます。
受験対象者 | 応用情報からステップアップしたい方 セキュリティエンジニア 高度試験を受験予定の方 |
受験資格 | なし |
難易度 | 普通〜やや難 |
偏差値 | 58.5(独自調査) |
勉強期間 | 2ヶ月(独自調査) |
勉強時間 | 60時間〜360時間 |
試験日 | 4月中旬、10月中旬の年2回 |
試験場所 | IPA指定の試験会場 |
問題数 | 午前1は30問 午前2は25問 午後は4題中2題を選択 |
問題形式 | 多肢選択式(四肢択一) 記述式 |
試験時間 | 午前1は50分 午前2は40分 午後は150分 |
受験料 | 7,500円(税込) |
有効期限 | 無期限(永久有効) |
合格率 | 21.9%(令和5年秋期) |
メリット | セキュリティ知識・応用力が身に付く 国家資格として士業に就ける |
参考年収 | 761万円(独自調査) |
合格者平均年齢 | 34歳程度 |
よくある質問 | – |
受験対象者・受験資格
情報処理安全確保支援士の主な受験対象者は以下のとおりです。受験資格はないのでだれでもいきなりセキスペを受験可能です。私自身もセキスペ受験・合格時には基本情報や応用情報などの下位試験は受けず、いきなり受験しました。
応用情報に合格した後にさらなるスキルアップを目指したい方や高度試験に挑戦したい方であればセキスペは役立ちます。
- 応用情報からステップアップしたい方
- セキュリティエンジニア
- 高度試験を受験予定の方
難易度・偏差値・勉強時間
情報処理安全確保支援士の難易度は普通〜やや難レベルです。情報処理安全確保支援士は試験範囲が広く、理解すべきセキュリティ知識やセキュリティのトレンドを押さえる必要があります。
IPA試験のランキングを独自調査した際の、セキスペの偏差値は58程度です。セキスペの適切な試験対策と勉強時間を確保すればIT初心者の文系の方でも十分合格可能なレベルです。
30個の合格体験記から情報処理安全確保支援士の難易度と勉強時間を調査しまとめているのでぜひ参考にしてください。
試験日・試験場所
情報処理安全確保支援士の日程は国家試験なので試験日が定期的に決められています。
セキスペは毎年春の4月中旬と秋の中旬の年2回実施されています。令和6年度(2024年)の応用情報技術者の試験日は2024年4月21日(日)です。
また試験会場はIPA側で受験者の近い試験会場が通知されます。ITパスポートや基本情報などとは異なり、試験日と試験会場をご自身で選択できません。
問題数・問題形式・試験時間
セキスペは筆記試験で選択式のみならず記述式も出題されます。
セキスペは午前1、午前2と午後試験の3部構成です。午前1は応用情報の午前の過去問、午前2はセキスペの午前2の過去問を演習することで合格可能です。一方で午後は入念な試験対策が必須です。
私自身令和5年秋期に変更されたセキスペを受験した際には午後試験の時間はとにかく余るのでゆっくり焦らず丁寧に解答を練り上げていくことが重要です。
試験 | 時間 | 試験内容 | 対策の必要性 |
---|---|---|---|
午前1 | 50分 | 選択問題 当日開催の応用情報の午前問題から30問が抜粋され出題される | 低い〜普通 |
午前2 | 40分 | 選択問題 セキスペの過去問から流用率が高く、過去問を理解すれば合格可能 | 低い〜普通 |
午後 | 150分 | 選択・記述問題 シナリオのセキュリティ対策や自身のセキュリティ知見が問われる | 高い |
受験料
セキスペを含めた情報処理技術者試験の受験料は7500円(税込)です。値上げ傾向が強く、今後も値上げされる可能性が高いのではやめに受験して合格しましょう。
有効期限
セキスペを含めた情報処理技術者試験の有効期限はありません。試験に合格したら永久に有効です。
正確に言えば、情報処理安全確保支援士試験という「国家試験」に合格しただけであり、この時点では「国家資格」を取得したわけではないので有効期限はありません。国家試験と国家資格の違いは別記事でまとめているので参考にしてください。
ただ情報処理安全確保支援士として登録した場合の有効期限は3年となります。
合格率・合格点
直近の統計情報を参考にすると、応用情報の合格率は20%程度で推移しています。参考
合格点は午前1・午前2・午後試験のすべてで60点以上取ることが合格要件です。仮に午前1と2が60点以上で、午後が59点だととしたら合格できません。また、午前試験で60点以下であれば午後試験は採点されません。
メリット
セキスペの取得メリットは以下の点が挙げられます。
セキスペに合格することで上位試験である高度試験の午前1試験が2年間免除されることや登録手続きを行えば情報処理安全確保支援士として従事できる資格を得られます。
情報処理技術者試験の中でも情報処理安全確保支援士はセキュリティ業務に携わることができる国家資格である点が一線を画しています。
- 高度なセキュリティ知識を証明できる
- 高度なセキュリティエンジニアに必要な素養を証明できる
- 高度試験の午前1試験が免除される
- 国家資格として士業に就ける
セキスペなど高度試験の午前1試験の概要については別記事でまとめています。
参考年収
情報処理安全確保支援士の参考年収と市場価値をそれぞれ独自調査したのでぜひ参考にしてください。情報処理安全確保支援士の参考年収は761万円程度という結果でした。高度なセキュリティ人材が不足しており、求人も多く見受けられました。
平均年齢
情報処理安全確保支援士の合格者の平均年齢は34歳程度です。IPA統計情報|平均年齢
情報処理安全確保支援士の最年少年齢は14歳、最年長年齢は75歳です。若くして合格するのもすごいですが、75歳になっても学習する姿勢がすごいです。参考
よくある質問
- 情報処理安全確保支援士の勉強時間は何ヶ月くらいですか?
-
セキスペ合格者の難易度・勉強時間の調査から最も多い勉強期間は2~3ヶ月で70%を占めたので、1日1、2時間の学習時間という仮説で勉強時間を検討すると勉強時間は60時間〜360時間が目安となります。
- 情報処理安全確保支援士の難易度は?
-
普通からやや難の難易度です。セキスペ合格者の難易度・勉強時間の調査では「難しい」と答える方が26%を占めました。私自身2回目の受験で合格しましたがそこまで難しい印象はなく試験対策をしっかりと行えば合格できる試験だと感じました。
- 情報処理安全確保支援士は国家資格ですか?
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はい、国家資格です。情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は情報処理技術者試験の国家試験であり、唯一の国家資格です。詳細は別記事でまとめています。
- 情報セキュリティスペシャリストと情報処理安全確保支援士の違いは何ですか?
-
情報セキュリティスペシャリストは情報処理安全確保支援士の前身となる試験の名称です。情報セキュリティスペシャリストから情報処理安全確保支援士に試験名称が変更されました。違いは試験名称のみで試験内容は概ね同じです。
セキスペの勉強方法
情報処理安全確保支援士のおすすめ勉強法は以下の通りです。
試験の申し込み
セキスペの試験申し込み期間は春期試験(4月)であれば1月下旬から~ 2月上旬、秋期試験(10月)であれば7月中旬から7月下旬です。申し込み期間を逃さないようにメール登録しておくのがおすすめです。詳細は別記事で解説しています。
セキスペの申し込み方法は以下記事でまとめています。ちなみに試験キャンセルはできないので注意してください。
過去問を確認
IPA公式で過去問題はすべて公開されているので、セキスペの過去問をさらっとでも目を通すことをおすすめします。
過去問を少し見ただけでもどのような問題が出るのかを把握できるはずです。最初は解けないかと思いますが、最終的なゴール地点をイメージしておきましょう。
当サイトでセキスペ午後の過去問解説と要点まとめを別記事で用意しているのでぜひ参考にしてください。
スケジュール計画
次にセキスペの勉強スケジュールを立てましょう。
セキスペ合格者の難易度・勉強時間の調査から最も多い勉強期間は2~3ヶ月で70%を占めたので、1日1、2時間の学習時間という仮説で勉強時間を検討すると勉強時間は60時間〜360時間が目安となります。
試験日の2ヶ月前から継続的に勉強を進めていきましょう。個人的には午前対策に2、3割程度の時間を割き、午後対策を中心に勉強することをおすすめします。
セキスペの午前試験は過去問からの流用が多く、過去問演習を3〜5年分ひたすら繰り返すことで合格できるレベルなので、試験直前の2週間前くらいから本格的に対策するのがよいでしょう。
一方で午後試験は暗記ではなく、理解力と考察力が求められるので午後試験対策を中心に行うべきです。
無料勉強サイトを活用
情報処理安全確保支援士におすすめの無料勉強サイトをまとめています。まずは無料勉強サイトを確認してから、セキスペの試験対策が可能かどうかをご自身で判断しましょう。厳しそう・不安であれば参考書を追加で利用しましょう。
参考書・問題集・動画で対策
セキスペの参考書を1冊購入し、アウトプットしていくのがセキスペの勉強方法としては王道です。参考書のみではわかりにくい場合は動画コースを活用しましょう。
情報処理安全確保支援士におすすめの参考書、問題集、動画コースをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
午前1・午前2対策
高度試験の午前1と午前2の違いと対策方法を別記事でまとめています。私自身、毎年高度試験を受験し午前試験を突破していますが、過去問演習の量をこなしながら問われている内容を理解すれば合格可能です。
午後対策
午後対策としてはIPAが発表している「情報セキュリティ10大脅威」に目を通すのがおすすめです。
理由としては「情報セキュリティ10大脅威」で新しくランクイン、または前年度より順位が上がっている脅威は出題される傾向が強いからです。
令和5年度のセキスペの出題に参考となった情報セキュリティ10大脅威 2023は以下の通りです。特に赤線で囲った点のマルウェアや内部不正による情報漏洩はセキスペで頻出事項になるので必ず対策していきましょう。例えば令和5年度秋期で出題された自身の知見からリスクアセスメントを行う問題もマルウェアや標的型攻撃の内容と対策を理解していれば得点を稼ぐことができましたし、私自身も功を奏しました。
各年度ごとにセキュリティ脅威の概要説明、具体的な事例、対策方法がすべてまとめられているので必ず目を通しましょう。どんな参考書よりもIPAが公式に発表しているものを優先的に読むことをおすすめします。
2021年(令和2年度)の例
2020年8月下旬に発表された「情報セキュリティ10大脅威 2020」では、個人のジャンルで、「スマホ決済の不正利用」が初めてランクインし、令和2年度の午後1では具体的な事例の「セブンペイの不正ログイン被害」がベースとなった問題が出題されました。
自身の合格体験記・不合格体験記
私自身は2回目の受験で情報処理安全確保支援士試験に合格しました。1度は不合格になったのでそのときの失敗談も含めて赤裸々にまとめます。
不合格体験記
令和2年度秋期(2020年秋)のセキスペを受験し、当時の午後1試験が51点で不合格でした。
私自身が令和2年度秋期セキスペに落ちた時の反省点・学んだ点をまとめると以下の通りです。
- 思い込みは捨ててよく問題文を読むこと
- 考える時間を事前に決めておきわからない問題は後回しにすべき
- 問題文の意図や本文の内容をしっかりと押さえるべき
- 質問されている題意に沿った解答をできるかが肝
- 無難な答えを書くことで部分点は稼げる
- 過去問演習は質を大事に
午前2試験では過去問と同じような問題を見た瞬間に問題文をよく読まずに答えてしまうことがありました。具体的には「IP25B」を答える問題でしたが過去問では「OP25B」がしつこいほど出題されていたので、今回も「OP25B」だと勘違いしました。
また、セキスペの午後の過去問をひたすら解くことに固執しており学んだ内容の復習や知識の地固めを怠っていたことも落ちた要因でした。過去問を解く量を増やすのももちろん大事ですが、解いたあとの復習や要点をまとめるのがよいでしょう。
一方で落ちたとは思っていたのですが意外にも午後試験の点数が51点もとれていました。公式解答とかすりもしていないような解答を書いたのですが部分点がかなり大きいと思われるので問題文の意図や文意に沿った解答を書き上げる大事さを学びました。
合格体験記
令和5年度秋期(2023年秋)に再度セキスペを受験し、午後試験が65点で合格できました。
2回目のセキスペ受験で学んだ点をまとめると以下の通りです。
- 知識の理解を深める勉強法を実践
- 過去問演習は復習を大事に
- 午後試験は最後まで諦めないこと
不合格時に学んだように午後試験の過去問演習をひたすら行うような勉強法はやめて、直近1年分の過去問を解いてわからなかった内容を掘り下げて学ぶ勉強方法を実践しました。
具体的には自分の言葉でセキュリティ知識をChatGPTに説明しながら知識をアウトプットしながら学びました。試験直前でもスマホでChatGPTにSAMLやOAuthなどの理解をぶつけて不足点を補う勉強を行いました。さらに、セキスペの過去問解説を知識を自分の言葉で説明する能力は記述問題に活かされたと実感しました。
令和5年度秋期から午後試験1つに統一されたため試験時間はかなり余裕がありました。ただ試験時間が150分と非常に長い分、集中力を保つのが非常に難しかったです。私自身は行き詰まった時にしばらく目を閉じてリラックスできました。
私自身のセキスペの勉強時間と勉強期間をまとめると以下の通りです。
項目 | 不合格時 | 合格時 |
---|---|---|
午前2の勉強時間 | 4時間 | 7時間 |
午後の勉強時間 | 40時間 | 37時間 |
総勉強時間・勉強期間 | 1ヶ月 | 1ヶ月 |
午後の過去問演習数 | 28題(約5年分) | 7題(約1年分) |
セキスペに役立つ情報
キャンセル
情報処理安全確保支援士の試験キャンセルはできないので注意しましょう。
当日の持ち物・流れ
情報処理安全確保支援士試験の当日に必要な持ち物と流れをまとめています。
試験結果はいつ?
情報処理安全確保支援士の結果は試験の2ヶ月後に合格発表があります。結果の確認方法は別記事でまとめています。
領収書発行方法
情報処理安全確保支援士の領収書の発行方法をまとめています。
履歴書への記載方法
情報処理安全確保支援士の履歴書への書き方を別記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。